落ちる髪の毛

 髪の毛は自然と抜け落ちるのです。自然現象なのです。ですが長髪になると1本の存在感が結構大きいのです。

 まぁまぁ掃除をしていても2〜3本すぐに落ちているのを発見したりします。夏は生え替わりの時期なのかもしれませんが、ドライヤーをかけた後の洗面所などは大丈夫かと心配になるくらいの量が落ちます。

 遥か昔、父親が思春期の娘の抜け毛が落ちているのを大層嫌っていました。「長い髪の毛が落ちていると気持ち悪い」と言われなんだか存在を否定されたような気持ちになったことを覚えています。現在次から次へと落ちている長い髪の毛を見つけるとその気持ちも少し理解できるようになってきました。

 想像してみると、埃やゴミよりも生き物の痕跡の方が怖い感じがするのは、ある程度知っているからなのかもしれません。埃や塵に混じった有毒なものやそれらが引き起こすトラブルがあったとしても怖くはないのは、見えないし全然知らないからです。

 私は世の中のほとんどのことに気付かず知らずに生きてきて、自分の髪の毛が自分から離れたってことくらいしかわかってないってことでもあるわけですね。今まではそれすらも気付かずに生きて来た可能性もあります。結局自分についてわかるのはその時に気が付いた目の前のことだけってことですね。